ICLとは

ICL(Implantable Contact Lens / Implant Collamer Lens)は、眼内コンタクトレンズ手術とも呼ばれ、コラマーと呼ばれる生体適合性の高い素材で出来た柔らかいレンズを眼内に挿入する手術です。
レーシックでは治せなかった強度の近視や乱視の矯正も可能になり、かつ角膜を削らない手術の特性から、より良質の視力を獲得する事ができます。

当院ではSTAAR社のICLを使用しています。
輿水医師はSTAAR社認定のICL院内インストラクターの資格を持っており、豊富な手術実績があります。ご不明な点、ご不安な点などございましたら、お気軽にご質問ください。
ICLの歴史

1986年に初めてヨーロッパで使用され、実はレーシックよりも長い歴史があります。
日本では2003年に臨床治験が行われ、2010年に厚生労働省の国内承認を得ています。
初期のICLは白内障や緑内障などの術後合併症が多く報告されていましたが、レンズの中心に0.36mmの小さな通水孔があるHole ICLが開発されて以降は、これらの合併症はほとんど見られなくなりました。
その後レンズ径の大きなモデルが登場した事で、見え方の質が更に改善しており、この数年でICL手術を受ける人が増加傾向にあります。
ICL手術のメリット・デメリット
メリット
- 手術後、比較的早期に視力が回復します
- 日帰り手術が可能なので、患者さんの負担も少なくて済みます
- 術後のレンズのメンテナンスは不要で、基本的にはレンズ交換の必要もありません
- 強度近視の方にも行えます
- 患者さんのご希望があるときは、レンズを取り出して元の状態に戻すことも可能です
- レーシックと異なりドライアイの悪化もありません
- 術後の見え方は長期的に安定していると言われています
デメリット
- 患者さんの眼の状態によっては、手術を行えないこともあります
- 術後、一時的に眩しさ(光の輪が見えるなど)を感じることがあります
- 他の屈折矯正手術に比べ、手術費用が高額
- レンズの入れ替えや、乱視の軸直しなど追加治療が必要となることが稀にあります
- 非常に稀ではありますが感染のリスクがあります(1/6000件)
手術までの流れ
ご相談
ICL手術を希望される方は電話で初診予約をお取り下さい。
初診
- いくつか眼の検査を受けて頂いて適応の有無を判断し、その上で手術のメリット・デメリットなどを丁寧にご説明させていただきます。
- 当院では初診時の診察、説明、手術、術後のフォローまで一貫して同じ医師が担当します。
目薬をさして瞳孔を広げる眼底検査を行いますので、車や自転車での来院はお控え下さい。
術前検査
手術に必要な検査を行った上で、レンズを決定します。
(術前検査の前は一定期間コンタクトレンズの装用制限があります。)
手術
- 術前検査以降、手術の前日まではコンタクトレンズは問題なく使用できますが、当日はメガネでお越しください。
- 手術後は40〜50分ほど休んだ後に検査診察を受けて頂き、帰宅となります。
- 手術当日はしみる感じや涙っぽさがあり、見え方もやや霞んだ状態となります。
術後診察
- 術翌日には異物感も消失し、見え方も大きく改善することがほとんどです。
- 術翌日以降、基本的には術後1週間、1ヵ月、3ヵ月、6ヵ月と受診して頂きますが、経過によって変更になることがあります。
- 術後は医師の指示があるうちは目薬を使用し、注意事項を守って下さい。
手術の概要
- 目薬で同行を拡大させ、点眼麻酔をして、角膜の縁を約3ミリ切開します。
- 切開した部分からレンズを眼の中に入れます。
- レンズを虹彩と水晶体の間に固定します。
- 瞳孔を収縮させ、手術は終了です。
ICLとレーシックの比較
ICLとレーシックの大きく異なる所は、角膜を削るか削らないかという点にあります。
以下、2つの術式について比べてみます。
項目 | ICL | レーシック(LASIK) |
---|---|---|
手術方法 | 眼内レンズを挿入する | 角膜をレーザーで削る |
適応度数 | 強度の近視・乱視にも対応可能 | 軽〜中程度の近視・乱視 |
可逆性 | レンズを取り外せば元の状態に戻せる(可逆的) | 角膜を削るため元に戻せない(不可逆的) |
角膜への影響 | ほとんど変化なし | 角膜形状を永久的に変化させる |
ドライアイのリスク | ほぼない | ドライアイが悪化することがある |
見え方の質 | 視力は長期的に安定 収差が増えないため見え方が鮮明 |
近視の戻りが見られる 収差が増える |
費用 | 高め(約70万円前後) | 比較的安価(約40万円前後) |
Q&A
- 手術時間は何分ぐらいかかりますか
- 患者さんの状態にもよりますが、およそ両眼で20分程度です。
- 手術の費用はいくらぐらいですか
- 乱視なしICL 70万円、乱視ありICLで75万円となっています。
- 手術後の生活について気をつけることはありますか
- 医師の指示通りにしっかり目薬を使用して下さい。また目を擦ったり、汚い水などが目に入ったりすることが無いように注意して下さい。洗顔・洗髪は問題なければ術後3日程度で可能となります。
ご不明な点、ご不安な点などございましたら、いつでもお気軽にご質問ください。
医師紹介
輿水 純子 医師
角膜、白内障、屈折矯正手術の分野を専門に、20年近く大きな病院で働いて来ました。
その中で得られた専門知識を地域医療に還元するとともに、自分のモットーである、「患者さん一人一人に寄り添った医療」を大事にしていきたいと思っています。
略歴
- 北里大学病院 レジデント
- 順天堂浦安病院眼科
- 順天堂大学大学院医学研究科眼科学博士課程修了
- 聖路加国際病院眼科 管理医長
認定資格
- 日本眼科学会専門医
- ICL認定医(院内インストラクター)
- 屈折矯正手術認定医
- 羊膜移植認定医
- 医学博士
所属学会
- 日本眼科学会
- 日本角膜学会
- 日本角膜移植学会
- 日本白内障屈折矯正手術学会
- ICL研究会